方法クレームで発明限定事項とならない用途限定

過去の記事「用途限定の解釈(欧州特許)」では、欧州では、方法クレームにおける用途限定は、方法におけるステップの1つとして解釈される、つまり発明限定事項として解釈されると説明しました。

例えば「亜鉛メッキを溶解する方法」は、亜鉛メッキを溶解するステップを含む方法として解釈されます。

しかし方法クレームにおける用途限定であっても、発明限定事項とならない場合があります。

より具体的にはその用途限定が方法クレームで特定された工程を実施すれば必然的に生じる技術的効果(inherentな効果)の表現に過ぎない場合は、発明特定事項として解釈されません。

例えば「吸収体を用いて工程A,工程Bそして工程Cを有する悪臭低減方法」では悪臭低減という用途限定は、工程A,工程Bそして工程Cを実施すれば必然的に達成されるinherentな技術的効果に過ぎません(T 1931/14、T 304/08)。このため悪臭低減という用途限定は発明特定事項とはならず、新規性および進歩性の根拠とすることはできません。

またこのような必然的に達成される技術的効果に過ぎない用途限定は、欧州では実施可能要件の問題になるリスクもあります(過去の記事「欧州ではクレームに効果を書かない方がよいです」をご参照ください)。

つまり方法クレームにおける必然的に達成される技術的効果に過ぎない用途限定はメリットが無いだけでなくデメリットがあるので用いない方が好ましいです。

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