欧州特許実務

出願日別の拡大先願(EPC54条(3))の運用

EPC54条(3)の規定が、概ね日本の29条の2(拡大先願)と同様の規定であることは前回説明しました。 当該EPC54条(3)の運用は、後のEP出願の出願日によって異なり、対応手段も異なってくるので留意が必要です。1.「後のEP出願」の出願...
欧州特許実務

医薬用途を有する化合物クレームの記載方式

通常のEPOの実務では、物の用途に新規性があっても物が公知であれば、物としての新規性は認められません。しかし、公知の物質又は組成物であっても、それが新規の治療方法又は診断方法(医薬用途)に用いられる場合、当該公知の物質又は組成物の用途を当該...
ドイツ特許実務

職務意匠の権利の帰属(ドイツ)

ドイツでは職務意匠についての一切の権利は、特段の契約を交わした場合を除いて、使用者に帰属します(ドイツ意匠法第7条(2))。 また、前回説明した職務発明制度と異なり、職務意匠については、使用者にはなんら義務が発生しません。 すなわち、使用者...
ドイツ特許実務

ドイツの従業員発明制度における使用者の義務

ドイツでは従業者がした従業員発明(Diensterfindung)は、発明の届出後は通常自動的に使用者に帰属します(従業者発明法第6条)。また従業員発明の届出は従業者の義務です(従業者発明法第5条)。このようにドイツでは従業員発明制度におい...
ドイツ特許実務

ドイツ特許庁における特許異議申立(Einspruch)

ドイツ特許を攻撃する手段として無効審判(Nichtigkeitsklage)のほかにドイツ特許庁の審査部が担当する異議申立(Einspruch)があります。 異議申立の要件を以下に簡単にまとめます。 時期的要件: 特許登録公報の公開から3ヶ...
ドイツ特許実務

ドイツ特許庁による無料ウォッチングサービス

ドイツ特許庁は、、公開特許公報や経過情報が更新された場合に、電子メールで報告するサービス(ウォッチングサービス)を無料で提供しています。サービスを受けるためには、まずドイツ特許庁のHPからユーザ登録をします。ユーザ登録をするとURLが添付さ...
ドイツ特許実務

ドイツ特許庁による先行技術調査

日本にはなくドイツにある制度で「ドイツ特許庁による審査請求前の先行技術調査(ドイツ特許法第43条)」があります。 この「ドイツ特許庁による審査請求前の先行技術調査」は、審査前に出願の特許性についての束縛力の無い見解を示すという点で国際調査や...
ドイツ特許実務

ドイツ特許庁へのPPH申請の要件

1.前提 ・対応日本出願が存在すること ・対応日本出願がJPOにより特許可能と示された少なくとも一の請求項を有していること ・ドイツ特許庁において審査が着手されていないこと 2.手続的要件 ・ドイツ出願の請求項は、日本出願の特許可能と示され...
その他

プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(EP、ドイツ)

EPOおよびドイツでは、プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(物の発明において特許請求の範囲に製造方法が記載されている形式)においてはプロセス(製造方法)を除外して、新規性・進歩性の判断および権利範囲が認定されます。したがって、プロダクト・...
出願

クレームドラフティングの際のチェック項目(EP出願)

1.クレーム数は15以下か15超のクレームについては各クレームごとに現時点で225EURクレーム費用が加算されます。そのためクレーム数を15以下に抑えることが一般的です。EPOでは従属項であれば「preferably」や「in partic...
ドイツ特許実務

補正の時期的要件(ドイツ)②

前回のドイツ特許庁における時期的要件の記事の補足です。 前回の記事では、ドイツでは、特許を付与すべき旨の決定が行われるときまでは、補正をすることができると説明しました(ドイツ特許法第38条)。 これはOAに対する「応答期間外」でも補正をでき...
ドイツ特許実務

ドイツにおける審査請求

ドイツでは日本と同様に審査請求をしなければ実体的審査が開始されません。ドイツにおける審査請求は、以下の要件を有します(ドイツ特許法第44条)。 (1)時期的要件 出願から7年以内 (2)費用 350ユーロ(審査請求前に調査請求を行った場合は...
ドイツ特許実務

ドイツ特許の維持年金

2012年9月26日現在のドイツ特許の維持年金の額は以下のようになっています。 年次 金額(EUR) 3年 70 4年 70 5年 90 6年 130 7年 180 8年 240 9年 290 10年 350 11年 470 12年 620...
ドイツ特許実務

用途限定の解釈(ドイツ)

先日は欧州実務において用途限定がどのように解釈されるかについて説明しました。 今回は、用途限定がドイツ国内においてどのように解釈されるのかについて説明します。 ドイツ国内においては、物クレームおよび方法クレームの両者において、用途限定は原則...